2009年9月23日水曜日

■B-1グランプリin横手、シルバーウィークの銀。













秋田県横手市で行われていた第4回B級ご当地グルメの祭典「B—1グランプリin横手」(9月19日・20日)で「八戸せんべい汁」は参加26団体中、3大会連続の2位となるシルバーグランプリを獲得した。
5日間の連休シルバーウィークに重なった今回は、本大会の翌21日に全10団体が出展しエキシビジョンが行われ、その終了後、大鍋ま汁"ガーZをトラックに積み込み八戸に戻る。

八戸に着いてから地元紙を開いてみると「せんべい汁またまた準V/B−1グランプリ」の見出し。

汁"研スタッフで現場を見てきた人間としては、「またまた」という表現はいかがなものかと鼻白む。

授章式では「実質的にはせんべい汁がグラ
ンプリですよね!」と祝ってくれる横手スタッフもいたのだ(お世辞でも)。
横手市かまくら館ホールで行われた閉会式の結果発表では、口には出さぬものの内心では3位以内の入賞すら危ぶんでいた。

前日の中間結果では、「横手やきそば」「津山ホルモンうどん」に次ぐ3位だった。

二日目はさらに「あいがけ神代カレー」の追い上げに勢いがあり、割り箸による投票所では箸が盛り上がって「すその水ギョーザ」の投票箱が動かせない—そんな情報が入ったりしていた。

今回はダメかなという思いがふくらんだ。
手をこまねいていたわけではない。
第1日目の結果を受けて上位に逆転進出するべく、深夜にわたる作戦会議(ただの飲み会とも言えるが)を行った。

来場者に「八戸せんべい汁」が目立つように幟を持って、中心市街地会場(横手地域局前)、秋田ふるさと村の2会場内を巡回する
こと。
ブースでは、行列のお客さんを待たせぬように、せんべ
い汁マエストロ・在家さんと森チーフが次々と鍋を仕込み、間を空けないようにすること。
二日目は初日をさらに上回って人出が早く、オープン10時だというのに朝8時には当日券受付に列が出来ている。

トリオ★ザ★ポンチョスのみか
ゃんを筆頭に幟をもってPR隊が出動する。
「せんべい汁アカデミー」と称して、紙芝
居を八戸工大二高美術コースの生徒たちに作ってもらいせんべい汁の歴史を紹介し、せんべいを三等分に割るベンツ割り体験をしてもらう。


■一体感を盛り上げたトリオ★ザ★ポンチョス
トリオ★ザ★ポンチョス(以下トリポン)の活躍は目覚ましく、B−1グランプリではなくてはならない存在だ。
9月18日の前夜祭では、『B−1グランプリ』
『好きだDear! 八戸せんべい汁』のテーマ曲で盛り上げ、オリジナル曲『この街と』では、「胸を張って言うよ いいトコも悪いトコも 全部全部 横手が大好き〜」と歌って関係者の感涙を誘った。

自然発生的に参加各団体が次々に登壇し、トリポンのバックで幟を振る。
まるで『We are the B-1』だ。
参加者に一体感が生まれた瞬間だった。
トリポンがステージに立てば、出店者がかけつけて幟を振ることが、この大会を通じて恒例となった。
その中でもみかちゃんは、ステージパフォ
ーマンスが終われば、せんべい汁アカデミーの演じ手となり、マイクを握って行列の呼び込みとなり、その合間にテレビ、ラジオのレポーター取材と休む間もない。
踊りの振り付けがある『好きだDear! 八戸せんべい汁』テーマソングでは、ステージ毎に踊る人が増えていく。
「ここで踊った人は、八戸せんべい汁に投票して下さい!」とトリポンうっちゃんが言う。

「いや、ウソです(笑)。各ブースで一所懸命おいしい料理を出していますから、皆さん、本当においしいと思った所に箸を投票して下さい。…迷った人は、せんべい汁に入れて下さい!(笑)」

その甲斐あって午後3時すぎに完売となり、あとは集計結果を待つばかりとなった。


授賞式のステージ上に「八戸せんべい汁」を含む「横手やきそば」「津山ホルモンうどん」の三者が上位に残された時、少なくとも3位以内入賞を果たした安堵感があった。
そして、「ブロン
ズグランプリは津山…」とコールされ3年連続の第2位が決定した時、会場の一番奥に待機したせんべい汁チームは歓喜しステージに向かった。
「このシルバーの色は僕たちにはゴールドです!」
木村聡事務局長は目に涙をにじませつつ、上ずった声で発したコメントはややベタな感じがしたけれど、それだけ率直な感慨がきっと胸につまったからなのだ。










■B-1厚木も、きっとすごくなる。
今大会は、八戸1万8千人、富士宮25万人、久留米20万3千人を超えて最高の来場者数を記録した。
来場者予想は、目標15万
としていたから、閉会式の大会発表において両日で計26万7千人(主催者発表)とアナウンスされると「おーっ」と場内がどよめいた。
スケールの大きさが成果の全てではないし、無論、高速道路のETC休日特別割引の効果は大きかっただろうが、この東北の地に全国各地から人が集まったということに一つの達成感がある。

地元のアルバイト学生は「だいたい横手で渋滞というのがありえないっすっよ」と言っていた。

このB−1グランプリは、単に食のイベントではなく、街おこしという目的がある。
富士宮でも、久留米でもB−1グランプリ会場の賑わいから一歩離れるとシャッター街が目立ち、地方都市の疲弊は痛々しい現実を見せつけられる。
だからこそ、久留米では「街にこんなに人が集まるなんて久しぶりだ」と嬉しそうに話してくれる屋台におばさんがいたし、前回グランプリを獲得した「厚木シロコロ・ホルモン」の中村代表も「B−1グランプリで優勝した後、厚木はすごいことになっています。確実に街は元気になっています」と言い、久留米の主催者の一人である松田氏も「久留米の町も出店が増えたり変わってきています」と報告したのだった。

イベント一つで全てが劇的に変わるほど現実は甘くはないだろうが、B−1グランプリを開催する前と後の変化は確かなことのように思う。

そもそも地元の運営スタッフの顔にも、疲れの奥に晴れがましい輝きが見える。
例えるのも何だが、アメリカの田舎町のウッドストックが野外ロックフェスティバルの聖地としてシンボライズされるように、横手もまたB−1グランプリの街として記憶されると思う。

閉会式では主催者が各出店団体へ幟一本を置いていってほしいとその提供を要請した。
今後、横手市でB−1グランプリの記念として展示するという。














次回の第5回は来年の同時期、9月18日(土)19日(日)神奈川県厚木市での開催決定がされている。

都市圏に近いこともあり、来場者は今回の倍近くにもなるだろうという
人気が高ずるにつれイベントが巨大化していくのは必然かもしれないが、ローカル感が魅力の「B級グルメ」のスケール拡大は、矛盾のようでもある。

ローカル色を保ちながら、大きなイベントを成功に導くスタイルをどう確立していくかは、次回の大きな課題だ。 また一方で、トリオ★ザ★ポンチョスが全国的なパフォーマーに飛躍する予感がある。
せめて振り付けをしっかり覚えて応援したい。


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