2010年3月2日火曜日

冊子企画と、「インビクタス」と


気がつけば(いつも気がつくのが遅いのだが)、もう3月になっていて、前の投稿から6週間! 
めぐる季節が早すぎる。めまぐるしくめぐるのでめげる(単なるコトバ遊びです)。
その間、そうだ!
とことん青森2010 in 原宿表参道のイベントで、八戸せんべい汁研究所の出展(1月23日・24日)があり、「陽だまり」第8号の発行にこぎつけ、北のコナモン博覧会のイベントとして日本コナモン協会の熊谷真菜会長のお好み焼き講習会の手伝いとか、えんぶり囃しをBGMにウロウロ、パタパタしていた。
その間に観た映画「アバター」とか「インビクタス/負けざる者たち」「おとうと」について書こうとしているうちにもう3月だ。
バンクーバー・オリンピックが終わる時に、チリで大地震があって大津波警報が出て、ひな祭りだし(関係ないけど)、年度末だし。
何一つ定まることなく次が始まるというのは世の定めと、分かってはいるつもりなのだけれど。時間よ止まれ、と言って止まるわけもないように、もっとスローライフをと願っても、単純にそうはならないよなぁ。
準備が万端整ってから物事を始めることなど、まずないと思った方がいいという気がする。

と、こじつけのようなことを書いておいてと。
冊子を作ることを決めました。
A5で16ページ程度なので、まさしく小冊子ですが、小が取れるように頑張って、遅くとも4月初旬には発行したいと考えています。
どんなものになるかは、実際に現物で。
人の「コミュニケーション」に、ずっと関心をもってきましたが、21世紀の今は、言葉の発達、文字の発見、印刷の発明に次ぐ人類史の画期的な時代ではないのかと感じています。
携帯電話の普及は、人と人との個人的関係を直接的なものにしたし、インターネットもまた地理的条件を超えて情報が飛び交う空間を造っています。
そして、さらにTwitter。
このアイテムがどのような可能性をもつのか分かりませんが、何だかすごいことになっているな、という感じだけは伝わります。
かような電子メディアの奔流の中で紙メディア発行は、ちょっとどうなんだろうな、という躊躇がありました(一度、失敗しているし)。
でも、万全の準備をしてから物事がスタートするということは理想であっても、必ずしも現実的ではないという話(何かで読んだか、聞いたか)に動かされ、企画し準備しているところなんです。
ふぅ(って今からこれじゃ先が…)。

クリント・イーストウッド監督の最新作「インビクタス/負けざる者たち」のことを書こうとしたのだった。
同監督の映画は、「グラン・トリノ」にやられて以来、これまで余り好きでもなかった過去の作品まで再評価中なのだが、今回の作品はアパルトヘイト問題を抱えた南アフリカ共和国とネルソン・マンデラ元大統領の闘いを描いている。
奇をてらわない監督の演出、モーガン・フリーマン、マット・デイモンらの演技力は無論だが、ラグビーのワールドカップ優勝という実話を通して、重いテーマをエンターテインメントとしても一級の作品に仕上げたことに製作者の優れたセンスが感じられる。
冒頭から、脳裏をよぎっていた映画があった。
同じくアパルトヘイトの南アフリカをテーマにした「遠い夜明け」(1987)。
南アフリカの現実をほとんど知らずに観たが、当時受けた鮮烈な感動を沸々と思い出された。
アパルトヘイトに抗して27年間の獄中生活を送ったマンデラ元大統領は、「遠い夜明け」公開時にすでに投獄されており、さらに23年(!)という長い年月を孤独に闘ってきたということになる。
「インビクタス」に感動したのは、明けない夜はない、とかいうことではない。
自由を求めるが故の孤独。その希求の強さと忍耐。
「平和」日本で育ったぼくにはそのどちらもない、か、あったとしてもないと同じように貧弱なものだ。

「赦しは、自由への一番たいせつな第一歩だ」

映画の中のこの言葉がね、忘れてはいけないものとしてずっと胸に残ったままで、これが深くて重いんだよね(作品そのものは難しいわけじゃなくて面白いから、ぜひ観てね)。